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「おいしそーな肉まんー」

「痛ぇっ! か、噛むな! 華奈、噛むなってぇっ!?」

 

 目覚めて一番に見た朝の光景は、壮絶だった。

 久しぶりにたっぷりと寝て、起きたのは十時を過ぎたところ。

 何だかダイニングが騒がしいなぁと降りてきてみると、そこには何とも壮絶な光景が広がっていたのだ。

 

 簡単に言うと、華奈が、薫に噛み付いていた。

 

 その光景を見て一体どういう反応を取るのが普通なのだろうか。

 漫画とかでもさすがに見たことの無い事態だったもので、かなり困惑する郁也。

 とりあえず思考すること十秒。

 

「……朝から、お盛んで」

 

 その言葉だけを残し、立ち去ることを決め込んだ。

 

「おま……っ! 待て! 助けてくれぇーっ!」

「肉まーん」

「華奈も目を覚せぇッ!!」

 

 ダイニングへ続く扉を閉めてから納得。

 

――あぁ……寝ぼけてたんだ。華奈。

 

 彼女はとてつもなく朝に弱い。

 今まで知らなかった事実を郁也は知ったのだった。

 

 

 

 Chapter18 旅立ち前の一時

 

 

 

「……この歳でハゲができるかと思ったよ」

 

 どうやら頭まで噛まれたらしい。

 痛々しい歯跡の残る腕で頭を摩っていた。

 

「ごめんねぇ……。何とかしたいとは思ってるんだけど、寝起きはすっごい悪いんだよ。私って」

「あれは、悪いっていうか……本当に寝ぼけてたのか? お前」

 

 あれは、何か別のものがとり憑いていたのでは無いだろうか。

 それぐらいに先程の光景は凄かった。

 

「郁也も……助けてくれよ……」

「嫌だ。俺まで巻き込まれたくない」

 

 誰が好き好んで、あんな状況の中に突撃していくのか。

 むしろそうする奴の顔が見てみたいところである。

 もっとも、普通なら逃げるか突撃かの前に混乱でもしそうだけど。

 

「寝ぼけてると誰彼構わないから……郁也、正解かも」

「……逃げる以前に後ろから襲い掛かられた俺は、どうすればいいんでしょうか」

「まぁいいじゃないか。彼女との貴重な体験、ということで」

「それが言葉から想像出来るような内容だったら良かったと思うよ……」

 

 確かに。貴重な経験と聞いて、それが彼女に噛み付かれたことなんて誰も想像できるはずもない。

 というか、仮に出来たとしても誰もしたくないだろう。

 

「え? そっちの方が良かったの?」

「比べるんだとしたらそっちのが遥かにな……」

「……ねぇ。薫?」

「……あぁ?」

「ヤりたい?」

 

 薫、盛大に吹く。

 

 とんでもない台詞をあっさりと吐くのはまぁ華奈らしいというか何というか。

 やっぱり、かなりずれていた。

 

「ねね、どうなのー? ほらほら、言っちまいなー」

「うわ、ちょ、いやーっ!? 襲われるーっ!?」

「彼氏としての面目丸つぶれな、お前。つか将来絶対に尻に敷かれるだろ」

「そんな細かい推測はいらないから助けてーッ!!」

 

 彼女に襲い掛かられる彼氏、薫。

 郁也は知らないが二度目になるそれは、やっぱりシュールな光景だった。

 

「い、郁也! 助けてくれっ! マジでっ!!」

「……と、お前の彼氏が言ってるぞ、華奈」

「うふふふふー、きっと照れ隠しなんだよー」

「ポジティーブッ!?」

 

 とまぁそんな感じに。

 哀れな薫が押し倒されたところで閑話休題。

 

 

 

 

 

 

「昼ご飯食べたら、また何処か行く?」

 

 野菜を刻みながら、不意に華奈はそう提案した。

 

「あまり外には出たくないんだけどな……。俺はここいたらまずいわけだし、見られると困る」

「お前、今は海外だもんな」

 

 明日には薫達もそういう扱いになるわけなのだが、とりあえず今は郁也だけがそんな問題下にあった。

 わざわざ嘘までついてくれた両親の手前、そんな理由で見つかるわけにもいかないのだ。

 

「でもさぁ、夜まで退屈じゃない? 予定早めて向こうに行くとか出来ないの?」

「……仮にも、連れて行ってもらう側の台詞とは思えないな」

「じゃあどうするの? ずっとここで暇してる?」

「まぁ、そうなるな」

「むぅ……退屈」

 

 あくまで口論しただけで、強行手段に走るつもりは無いのか、華奈はそのままソファーに座り込む。

 

「けれど、お前達は俺と一緒にいなくてもいいだろ。九時までに戻ってこれば、それでいいんだぞ?」

「うーん……それでもいいんだけど、ねぇ?」

「だなぁ……。どうも、郁也だけを残してくのが気になる」

「……それは嬉しいけどな? 考えてもみろ。向こうの世界に行けば、ろくにデートとか出来やしないぞ?」

 

 ピシリ、と。

 何か変な音でも立てそうに二人仲良く固まる。

 

「そ……それは……」

「こ……困るねぇ……」

 

 付き合い始めて幾日と無いのだ。

 デートぐらい、したいのだろう。

 

「だからあれだ。気にせず行ってこい」

「うぐ……で、でも、何かここで行くのは負けた気がする……」

「……何と戦ってるんだ、お前は」

 

 確かに居てくれる、と言ってくれるのは嬉しい。

 けれど、それで二人の時間を奪ってしまうのも如何なものか、と考えてしまうのだ。

 

「薫、お前はどうする?」

「いや……俺に振られてもなぁ……」

 

 薫自身も、どうすればいいか考えているらしかった。

 友情を取るか愛情を取るかか、という辺りだろう。

 普段どおりならば、まぁ二人のノリだ。

 普通に後者を選ぶのだろうが……今の状況は少し特殊。

 そこまで悲観的な事情ではないにしろ、やっぱり考えは普段とは変わってしまうのかもしれない。

 

「……いや、やっぱり俺は残るよ。今は、普通じゃないんだしな。何か無いとも言えないだろ」

「私もやっぱり残る。ほら、郁也一人だと寂しいじゃん。何か話でもして、時間潰そうよ」

 

――あぁそうか。

 

 納得する。

 もしかしたら、この二人は心配してくれているのかもしれない。

 突然帰ってきた自分を。

 また何かあるかもしれないと、そんな確信も無い不安から。

 親友だからこそ、それを感じ取ってくれているのかもしれない。

 

「あぁ、分かったよ」

 

 だから、素直にそれを受け入れることにした。

 そんな二人に、余計な心配を掛けまいと。

 

 

 

「昼飯、炒飯でいいな? 材料がまるで無い」

 

 むしろ、忘れていたが冷蔵庫の中身に無事なものがあっただけでも奇跡だったと思う。

 特に、野菜。

 

 一ヶ月近く放置して、ある意味凄いと思った。

 

「……郁也」

「何だ」

「食中毒起こしたら、訴える」

「なら買って来い」

「美味しく頂きますっ」

 

 人間、空腹には敵わなかった。

 つか自分で作らず、とんでもないことを言う娘だ。

 いや今更だけど。

 

「うわぁ……野菜が不純物だよ、この炒飯」

「やかましい。黙って食っとけ」

 

 ギリギリ大丈夫ではあっても、鮮度は最低レベルだ。

 それぐらいは妥協してもらわないと困る。

 ……でもまぁ、確かにこれは不味い。

 もしかしたら入れなかった方がよかったかもしれなかった。

 

「栄養バランスと味と、どっちが大事なんだろうこの場合」

「いやこのしなびた野菜に栄養があるとは思えないけどな?」

「だから不純物だよこの野菜ー」

 

 頼むから、もう少し歯に衣着せた物言いをしてほしい。

 ……まぁ、要らない物であるのは認めるけど。

 

「……野菜の話はもういいだろ。作ってからじゃ手遅れなんだ、黙って食え」

「冗談だよ。折角作ってくれたんだし、ちゃんと食べるって」

 

 そう言って笑う。

 ……が、あれは絶対本心だろう。

 冗談なんかではなかったことは、発言時の彼女の表情が物語っていたし。

 

「まぁ、別に食いたくなかったら食わなくていいけど」

「……薫、何か知らないけど郁也がいじめてくるよ」

 

 隣の薫へ振り向く。

 そのまま腕に抱きつくが、薫はため息を一つ。

 そして言った。

 

「なぁ、郁也」

「何だ?」

「段々、慣れてきた」

「あぁ。そりゃよかったな」

「無視するなーっ!!」

 

 そうして、騒がしい昼食の時間は過ぎていく。

 

 

 

「あと三時間、かぁ」

 

 不意に時計を見上げた華奈が呟く。

 

 午後六時。

 外はもう日も落ちかけ、深い夕焼け色に染まっていた。

 

「やっぱりこうなってみるとさ、感慨深いものがあるもんだな」

「この世界にいられるのもあと三時間、って?」

「何処ぞの三文小説みたいな言い回しだな」

「そこ、水差さない」

 

 突っ込まれ、苦笑する。

 

 まぁその気持ちは分からないでもない。

 郁也とて、同じ気持ちを味わいながら向こうの世界に旅立ったのだ。

 もっとも今となっては、そんな気持ちはもうあまり無かったりする。

 一度行ってしまっている以上、むしろそういった気持ちが芽生えるほうが不思議なのだろうけど。

 

「郁也」

「ん?」

 

 不意に名前を呼ばれ、振り返る。

 

「向こうの世界ってさ、どんな所なの?」

「あー……どうなんだろうな。言葉にしろ、って言われても困るけど……。ただまぁ、お前等が想像してるのとはかけ離れてるのは確かだ」

 

 荒廃しきったあの大地を想像しろ、というのも無茶な話だが、かといってどう説明すればいいのかまるで分からない。

 いや……説明は、『荒れ果てた世界だ』とでも言えば簡単なのだろうが、果たしてそんな説明で通じるのかが分からなかった。

 故に、

 

「まぁ、この世界とは全部が違う。それだけは言えるよ」

 

 郁也は、そう答えた。

 

 釈然としない答えではあるが、今ではそうとしか答えようが無い。

 どの道、実物を見れば彼らだって知ることになる。

 向こうの世界の真実を、否応が無しで。

 

「曖昧だなぁ……」

「いいだろ? それだけ楽しみを増やしておいてくれ」

 

 そう言って笑ってみせる。

 まぁもっとも、楽しみとなりうるかといえば微妙だったりするのだが、それを知らない二人には関係の無いことだ。

 

「さてと、そろそろ飯にするか?」

「あ、うん。そろそろお腹も空いてきたし、お願いー」

「今度はボリュームのあるの、作ってくれよ」

「……お前等も手伝うんだよ」

 

 何故だか郁也だけに作らせる気満々の二人を睨む。

 一人暮らしで料理はそれなりにできるつもりだが、昨日今日で分かったことがあるのだ。

 

 三人分を作るのって、結構辛いと。

 何だか主婦をやっている人を郁也は少し尊敬したとか何とか。

 

「え、何で?」

「面倒だし、郁也やってくれよ」

「なぁ……お前等殴っていいか? マジで」

 

 面倒くさがりすぎる客に、固く拳を握り締めながら問うた。

 とういうかもはや脅した。

 

 ちなみに、

 

「いいだろ、今日も朝昼と作ってくれたじゃないか。だから夕飯も――ぐふっ!?」

 

 こんなことを言えば、問答無用で殴るつもりでいた。

 

「お……おま……。不意打ちは……反則……」

「……しまった。手伝い要員を潰してしまった」

「うわぁ……容赦ないよこの人……」

 

 そう言いながらも立ち上がって台所に向かおうとする華奈。

 同じ目には遭いたくないと、素直に動くことにしたらしい。

 それに郁也も満足げに頷くと、華奈の後ろに着いてリビングを後にした。

 

 

 

 

 

 

 この世界にいられるのもあと一時間、などと言ってみると、何だか死に行く者の言葉みたいだった。

 まぁ実際にそうなのだけれど、やっぱり言葉にしてみると何だか不思議な感じがした。

 

「何か、こういう時の一時間って暇だよな」

「あー同感かも。なんかさ、やることが無くなってくるんだよね」

 

 そんな平和な会話が、背中に聞こえた。

 さっきに引き続き、この傍若無人な二人に、そろそろ頭の中で何かが切れた。

 

 だから郁也は、その手に固くたわしを握り締め――全力で二人目掛けて投げつけた。

 

 放物線、何て生ぬるいものではなく、完全に直線を描いてすっ飛んだたわしは薫の額に直撃し、さらに跳ねてから華奈の後頭部を捉えていた。

 何だか神懸り的なコントロールを見せたが、今はそんなこと問題ではない。

 

「たわし痛ぁっ!? というか何するの!?」

「不意打ちは反則だろ! 俺達が何をした!?」

「……むしろ何もしてないからなんだけどな? そんなに暇なら少しは手伝おうと思わないのか、お前等は」

 

 むしろ罪悪感の欠片すら感じていなかった二人に、今度はフライパンでも投げてやろうかとか考えてみたりしたが、他の物に当たったら結構危ないのでやめた。

 

 無論、あの二人に当たるのは一向構わない。

 

「いいじゃん! 残り一時間、有意義な恋人同士の時間過ごさせてよ!」

「人の家で堂々と何を抜かすか、お前は」

 

 せめてそういうのは外とか自宅でやってほしい。

 というか、人の家を愛の巣にしないでほしい。

 

 いやむしろ、この二人にはもう少し常識を持ってほしかった。

 

「つか、さっきはそういう時間は無くていいって言ってただろ」

「無くていいなんて言ってないし! 郁也が心配だから一緒にいようって言っただけで!」

「そうだ! 可能な範囲でなら問題ないだろうが!」

 

 そんな風に、何故か二人は胸を張って言い切った。

 

 ちなみに、人はそれを開き直りと言う。

 もしくはご都合主義。

 

「……」

 

 そんな二人を見ていると、思わずため息が漏れる。

 や、しかしまぁ、一応は初々しいカップルなわけなので、そういう風になってもおかしくは無いのだけど。

 

 それに、二人がそうなっているのは、一応自分を心配してくれているわけで。

 

「仕方ないな……」

 

 だから、そう呟いて立ち上がった。

 

「郁也?」

「先に丘に行ってるよ。きちんと戸締りとかして出てきてくれ」

 

 そう言い残すと、二人が何か言い返す前にその場を後にした。

 二人がこういう申し出に遠慮することは無いとは思うのだけど、何だか気を遣わせても悪いと思ったのだ。

 

 しかし、廊下に出たところで、

 

――……あ、皿洗い。

 

 そういえば終わってなかったことを思い出して、

 

――……まぁ、いいか。

 

 すぐにそう割り切って、玄関に纏めてあった自分の荷物を持ち、郁也は外へ出た。

 

 

 

 冬場でないとはいえ、八時を過ぎたこの時間はかなり空気が冷たかった。

 何が悲しくて一時間もここで過ごさなければならないのか、とか考えてみたが、当然その答えはあの二人にある。

 やっぱり後で殴っておこう、なんていう理不尽な答えを出して、とりあえず郁也はその場に横になった。

 

 確かに寒いが、我慢できないほどでもない。

 このまま一時間、軽く仮眠でも取ろうか。

 

 そう考えて目を閉じたとき――。

 

『郁也さん、郁也さん』

 

 まるでタイミングを計ったかのように、頭にウィンの声が響いてきた。

 

『……お前、実はこっちの状況分かってるだろ』

『? 何のことですか?』

『いや……分からないならいい。それで? どうした?』

 

 どうも怪しい感じはしたけれど、それでも変なタイミングになるよりかは何倍もマシなのは確かなので、とりあえず気にしないことにた。

 

『えっとですね、ちょっと郁也さんに相談したことが』

『俺にか? 珍しい』

『いえ、本当は華奈さん達に聞ければよかったんですけれど、郁也さんしか世界を挟んで念話できるようにはしていないので』

『ん、つまり、二人についてってことか?』

『はい。こちらの世界に来たとき、やっぱりあのお二人にもアーティファクトを使ってもらうことになると思いますから、今のうちにお二人の使えそうなものを選んでおこうと思って』

『あぁそういうこと』

 

 確かに、それなら余計な手間も省けていいかもしれない。

 が、それはそれで疑問が残る。

 

『けど、選ぶったってどうやって?』

『根本的には郁也さんの時と同じですね。戦いに使えるアーティファクトの中から、お二人に合いそうなものを幾つか出しておくだけです』

『あぁ……つまりはそれを探したいから、二人に合いそうなものを教えてくれ、と』

『まぁぶっちゃけそんな感じです』

 

 まぁそれならば、確かに郁也でも分からないことは無い。

 ……ただ、どうして二人がいる時に念話を送ってこなかったのかが疑問に残るのだが、やっぱりこっちの状況は完全に把握できてはいないのだろうか。

 だとしたら説明がつくけれど……、と、考えてみて、すぐに意味が無いことに気付く。

 結局そんなことを考えたところで、何かがどうかなるわけでも無いのだから。

 

『でも、アーティファクトの形状ってそんなにあるのか?』

『多分、郁也さんの考えているようなものならばとりあえず一通りは揃っていますよ? もともと、戦いのために作り出されたものが殆どですし』

『……何というか』

 

 本当、一体そんな高度技術を用いたものを幾つも作り出すウィン達の世界って何なんだろう。

 いつか抱いた疑問を、郁也は今一度抱いた。

 

 が、数秒で答えが出るはずも無いと悟って断念。

 

『まぁ、とりあえず華奈はすぐに分かるけど……薫はどうなんだろうな』

 

 華奈に関しては、とりあえず拳につける鉄甲のようなものがあれば解決だろう。

 だって、素手であの威力なのだから――多分に脅威。

 

 だが、薫に関しては正直何がいい、というのは思い浮かばなかった。

 運動神経が悪いわけではない、むしろいい方に分類される薫のことだから、基本的には練習すれば何でも使えるのかもしれないけれど……。

 

『まぁ華奈は拳につけるようなやつで、薫は俺と同じ剣の形でいいと思う』

『そうですか……分かりました。それじゃあそう言うのを幾つか出しておきますね』

『あぁ、分かった。とりあえずあいつ等にも、後で伝えておくよ』

『お願いします』

 

 結局、話というのは本当にそれだけだったらしく、こんな短い会話で念話は終了してしまった。

 繋がりが途切れる感覚が一瞬走り、声が聞こえなくなる。

 

「さてと……」

 

 それを確認すると、郁也は横にしていた身体を起こした。

 眠ろうと思っていたのだが、軽く話してしまったせいでその気も失せたのだ。

 

 ……というよりは、その内容のせいで、と言うべきか。

 

 向こうの世界に行けば、華奈も薫も鍛錬に励むようになるだろう。

 そう考えると、何故だか自分なんかすぐに追いつかれてしまうような気がしたのだ。

 

――素振りでもするか。

 

 もちろんそんなはずは無いのだろうけど、万が一にでも杞憂に終わらないことだってある。

 故に、郁也はそうならないようにすべく、この僅かな時間でも鍛錬に使うことにした。

 

 そして、空を裂く音が丘に響き始める。

 

 

 

 

 

 

  あとがき 

 

 どうも、昴 遼です。

 さて、久々の長編更新!

 最近、長編をサボり気味だったのですが、読んでくれている人からの希望もあって何とか再開です。

 この調子のまま、せめて月一では書いていきたいかも……。

 

 まぁ、頑張ります。

 

 とりあえず、今回で現実世界編はお終いです。

 次回からは再び異世界編へシフトしますよー。

 

 で、これで晴れて残る二人も異世界デビューなわけですが(マテ

 とりあえず、しばらくは郁也と同じ訓練の描写が続くと思います。

 それで、その合間に日常を入れていく、っていう形になるんでしょうかね。

 

 まぁ、とりあえずはそんな風に話が展開すると思ってくださいw

 

 

 

 では、また次回をお楽しみにー。




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